6.
 大きな窓を、個性的な形のシルエットが遮っている。
「お前がそこにいると、外が見えないよ」
 外からの光に、頭のてっぺんのトサカの輪郭がうっすら光っているのを見て、無性に笑い出したく なった。吹き出すのをこらえながら、文句を言うと、妙に震えた声になった。
「すいません」
 正反対の凪いだ声で謝罪して、骸は横にどいた。遮蔽物がなくなって、窓の外が見えた。
「ねえ、ボンゴレ」
 穏やかな声が、ほんの少し鼓膜を揺らした。
「今度また、二人で」
 窓の外には地球が浮かんでいる。彼は、ただその青い星を見つめていた。 ゆっくり目を閉じて、また開いても、変わらずそこに、ある。彼は微笑んだ。
 そして、骸に答える代わりに、かすかに頷いた。

 


(無理だよ)

 







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